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メソト ミャンマー 母の叫び

2010年12月13日

 タイ北部、国境の町メソトで、大勢のミャンマー人を取材した。対岸の戦闘から逃れ、川を渡って逃げてきた人たちだ。一帯はタイへの出稼ぎや貿易が盛んで、母国語以外にも助手が話すタイ語なら何とか分かる人はいた。

 「何があったんですか。犠牲者は?」。話を聞き始めると大抵の人が首を横に振った。明らかに軍事政権の話題に触れたがらない雰囲気があった。

 何人も当たるうちにやっと2児の母親(28)が気丈に質問に答えてくれた。繰り返す戦闘の恐怖や貧しい暮らしを語り、「私の夢は家族みんなの心がよくなること」と、傍らの幼子に手をやりながら祈るように訴えた。

 4日後、アウン・サン・スー・チーさんが解放された。自由を奪い続けてきた軍政に、対話を促す演説に胸を打たれた。大勢の人にも元気な言葉が戻ってきた。言葉の力は武器よりも重くあってほしい。そんな理想の大切さを思い起こした。 (杉谷剛)

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