【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. ヨーロッパ
  5. ベルリン アップアップの家賃

ベルリン アップアップの家賃

2011年01月04日

 ベルリンの都市計画当局から「家賃調査のお願い」が自宅に届いた。しばらくして調査結果が新聞に出た。

 問題点は旧東地区の一部で家賃上昇が目立つこと。ドイツ統一後、旧西より格段に安いのを目当てに学生らが殺到したまではよかった。ところが、最近は企業進出で急騰。人気エリアは旧西をしのぐ。同じ旧東でも開発から取り残された地区とは格差が歴然だ。

 家賃の上昇地区で暮らす高齢世代や店舗を構えていた市民は直撃を受けている。「私のせいではないのに」。つつましく暮らしていた知人家族もついに住み慣れた家を出て行くことになった。

 一方で、市が払い下げた土地では地方からの富裕層移住で利益を狙う業者が高級賃貸マンションの建設ラッシュ。記事には5年後には安い家賃の住居が不足するとの予想も。市当局は5年間で上げ幅を15%に抑える決意だというが「ちぐはぐな政策」という知人の指摘が頭から離れない。 (弓削雅人)