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バンコク 祭り情緒消すライト

2010年12月21日

 バンコク滞在3年目にしてようやくタイの伝統行事・ロイカトーン(灯籠(とうろう)流し)祭りに出かけた。水面に浮かぶカトーン(灯籠)は美しかったが、首都での祭りはどこか趣に欠けていた。

 祭りは毎年、旧暦12月の満月の日に行われる。今年は11月21日。起源については諸説あるようだが、水の恵みに感謝し排水などで川を汚すことを謝罪するための祭りとされている。灯籠には花と3本の線香、1本のロウソクが載せられているが、果物やお金、髪の毛などを添え灯籠を作る人もいる。

 名物の渋滞を避けるため近くの公園へ歩いて行き、60バーツ(約160円)の灯籠を買い、池に流した。

 だが首都の夜は高層ビルを照らすライトが明るく、灯籠の火も満月もくっきりと浮かび上がらない。周りの2、3割は外国人。水面をじっと見つめるタイ人たちを見ていたら闇夜が残る田舎で、もう一度、祭りを見たいと思った。(古田秀陽)