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ソウル うまい飲食街残して

2010年12月24日

 5年半ぶりに訪れたソウルの“変身”ぶりは見違えるほどだった。

 地下鉄車内は圧倒的に静かになった。「さあ皆さん、お聞きください」と名調子を車両中に響かせていた小物商には、金浦空港から市中心部までの約45分間で、1人しか出会わなかった。

 かつてのような、地下鉄のごう音ばりの話し声は皆無。ソウルの友人は「20カ国・地域(G20)首脳会議時のマナー向上運動の成果では」と解説してくれた。

 中心部はガラス張りの店舗や商業ビルが並び、おしゃれな雰囲気だ。清流が復活した清渓川(チョンゲチョン)のほとりには、観光用の馬車まで出ていた。

 ただ、汚いがうまい、路地裏の飲食店街が再開発で減ったのは残念。朝鮮王朝時代、庶民が馬上の貴人を避けた「避馬(ピマ)コル(小道)」と呼ばれる飲食街もほとんどなくなっていた。せっかく近くの清渓川に馬がいるのだから、避馬コルも残してもらえまいか。(篠ケ瀬祐司)