2011年01月13日
劉暁波(りゅうぎょうは)氏のノーベル平和賞受賞を祝おうとオスロに駆けつけた香港の民主活動家Hさんは、授賞式の前夜に浮かない顔を見せた。
「知ってたかい、あすは正装でなければ授賞式会場に入れないって」。招待されたが式典で着る服がない。貸衣装の店も見つからないという。
背広とネクタイを借りれば、と助言したが活動家仲間に余分はないらしい。「やはり日本人は、俺たちよりいい服を着ているねえ」とこちらを見る。いや、これを脱ぐと明日の取材ができなくなるんですけど-と一瞬迷った。Hさんが続けた。
「いや、いいんだ。ノーベル賞の重みも授賞式の服装基準も僕は尊重する。でも、人権を説くノーベル賞委員会は人を外見で判断しないと思っていたんだけどねえ」
授賞式当日、息が白くなる会場の外で、ジーンズと防寒着姿で「劉氏を自由に」と叫ぶHさんの姿があった。(松井学)