2011年03月15日
台湾南部・高雄市に「買うのに2時間は並ぶ」ほど人気のパン屋がある。出かけると夕食時なのに長い行列。「レイシやナッツが入った大きなパンが一番おいしい」と3時間並んだ在米華僑の女性。
1個350台湾ドル(約1000円)。安くはないが昨年、パン職人の国際コンクールで優勝した経営者の呉寶春さん(41)は「1日300個焼くのが精いっぱい。1人1個に制限させてもらっていますがすぐ完売で…」と寒空の下の行列客にわびた。
人気の秘密は?
「品質と均質。日本での修業時代にたたき込まれました。子どものころ貧しかった。おいしいパンを食べたいと思った気持ちを決して忘れません」
店の看板などに「呉寶春●店」と。「●」は日本経由で台湾に定着したというポルトガル語源のパンの台湾字で「パン」と発音。日本への愛着がにじむ。
●は口に含むと果実の淡い甘みが広がり、すぐにのみ込むのが惜しいような味だった。 (佐々木理臣)
(注)●は、パンの台湾字