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ソウル お寒い喫煙のマナー

2011年03月29日

 たばこを吸うのをやめて、本当に良かったと思う。体調が良くなったとか、食事がうまくなったとか、そんな理由ではない。喫煙のため屋外に出る必要がなくなったためだ。

 ソウル中心街にある仕事場が入居するビルは全館禁煙。昨年秋まで1日に何度も、9階の仕事場から1階まで下り、たばこを吸いに外に出た。

 韓国は今年、厳しい寒波に見舞われた。ソウルの1月の平均気温は48年ぶりに最低を記録。同じビルで働く愛煙家が北風が吹き荒れる喫煙場所で、首をすぼめながらプカプカやっている姿を見ると気の毒になる。

 同時に今年は、トイレの個室からたばこの煙が漂う場面に出くわす回数が、飛躍的に増えた。階段の踊り場にある「禁煙建物」の貼り紙のそばには灰が散乱。「厳しい寒さがソウルの喫煙家のマナー低下につながっている」とは、新しい発見だった。 (城内康伸)