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マディソン デモの余波押し寄せ

2011年04月07日

 中東各国で危険を顧みず反政府デモのうねりを伝える先輩諸氏の活躍を見て、いてもたってもいられなくなった。折しも米ウィスコンシン州で知事による公務員労組の団体交渉権剥奪計画に猛反発する大規模デモが発生。州議会議事堂が労組メンバーに“占拠”されているという。

 そこに過激な保守派の草の根運動「ティーパーティー(茶会)」が知事の加勢に駆けつけると聞き、勇んで州都マディソンに乗り込んだ。

 週末にもかかわらず数万人のデモ隊が議事堂の内外を埋めつくし、活気に満ちている。だが何か勝手が違う。平和だ。知事をヒトラーになぞらえる過激なプラカードを掲げる人たちも、振る舞いは極めて紳士的。警官を盾にした「労組」対「茶会」の激論もお互い冷静で最後は握手まで交わしていた。

 議事堂の一般公開は通常、夕方までだが、警察は「こんな大勢を強制排除できない」と夜通し“解放”。警官がデモを遠巻きに見守っていた。

 正直、当ては外れたがデモ参加者の怒りは本物だ。ある大学教授の女性(64)は「エジプトでできたこと(ムバラク政権崩壊)がウィスコンシンでできないはずはない」と、打倒知事を確信していた。デモは他州にも飛び火。中東民主化の余波は確実に押し寄せている。 (岩田仲弘)