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ワシントン ウオツカ心も温かく

2011年05月04日

 東日本大震災発生から4日目。週初めの朝、アメリカ総局のブザーが鳴った。

 「まあ、すてき」。興奮した声に何事だろうと思っていると応対に出た総局スタッフが間もなく小さな紙袋を提げて戻ってきた。

 隣室に入居するロシアの通信社「イタル・タス通信」から見舞いとして届けられたウオツカ2本だった。

 「皆さんが勇気と元気を取り戻されますように。心からお悔やみ申し上げます」。同通信社の総局長名で、こんなメッセージが添えられていた。

 震災の恐るべき映像は米国でも連日、テレビや新聞で報じられている。原発事故など被害の深刻さは日ごとに強まるが、ワシントン市内で、見知らぬ人からお見舞いの声をかけられたり、募金集めの風景に出くわすことも増えている。

 既存メディアばかりではなく、現在ではインターネットも通じて情報は即座に生々しく広がる。遠く離れた世界のことであっても被災者を思う気持ちは強いような気がする。

 隣室の総局長には、その日のうちにお礼に行った。見上げるような大男の彼は照れたような表情で言った。

 「ロシアの習慣ですが、これが適切かどうか。でも忘れないでくれ。ぼくらは隣人同士なんだ」。握手を交わしながら、国境も接する隣人の人情が心に染みた。 (久留信一)

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