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サンフランシスコ 気持ちもほぐす医師

2011年05月20日

 サンフランシスコで医師の世話になると、患者への対応が丁寧で、病状などについての詳しい説明を惜しまないことに気づく。

 臨床における医師の態度について、「ベッドサイド・マナー」という言葉があるくらい、患者への接し方が重要視される。患者側も世間話で「どこそこの病院の医師は…」などと、比較する話がよく話題に上る。

 初診ではほとんどの場合、医師の方から「わたしはドクター◯◯◯です」と、笑顔で自己紹介しながら、患者に握手をしてくるのが普通だ。

 行うべき検査や薬について、何通りかの選択肢があれば、それぞれを説明した上で、患者にどれを選ぶかを聞いてくる。

 日本人の感覚から言えば、それを決めるのは医師だろうと言いたいところだが、きちんと説明し納得させた上で、患者に選択の機会を与えるのがいい医師とされるのだ。

 近所にすこぶる愛想のいい男性眼科医がいる。女性患者とのあいさつで、ハグ(抱擁)してくることで知られる初老の医師だ。

 患者の方は、最初は皆びっくりするらしいが、話してみると陽気で楽しい人だと評判がいい。「病は気から」というが、患者の気持ちをほぐしてくれるこの医師も、マナーのいい、優れた医師と言えるのだろう。 (岡田幹夫)