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北京 友人と携帯 惜別の辞

2011年05月31日

 中国生活の楽しみの1つとして、多くの日本人が挙げるのが、足裏マッサージだ。足を熱めのお湯にしばらく浸した後、約1時間、足の裏を念入りにもんでもらって、日本円で1000円から2000円ほど。これで、日々の疲れも吹き飛んでしまう。

 先日、足裏マッサージに行った際、足を浸すおけに、誤って携帯電話を落としてしまった。お湯の中に沈んでいく瞬間、携帯電話の画面は真っ暗になり、こちらの頭の中は真っ白になった。リラックスしてマッサージを受ける余裕など、もはやない。

 以前、自宅マンションの上の階の水があふれ、天井から大量の水が降ってきたことがある。ずぶぬれになったCDプレーヤーが数日後、何の問題もなく復活したことも。今回も店員がドライヤーで乾かしてくれたが、携帯電話が動く気配は全くない。

 修理も無理ということで結局、新しい携帯電話を買い直したが、“水没”した携帯に保存していた中国の友人たちの連絡先は全て消えてしまった。

 4月には北京を離れ、日本に戻る。最後にあいさつを、と思った友人たちとは連絡もできないままだ。紙面を借りてのあいさつで、とも思うが、日本の新聞、誰も読んでないだろうなあ。(池田実)