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アナポリス 家族主義復権するか

2011年06月20日

 首都ワシントンから車で1時間とかからない米東部メリーランド州の州都アナポリスが好きだ。大西洋が北米大陸に深く切れ込んだチェサピーク湾に面し、高層ビルの見当たらない静かな街。塩焼きがおいしいホワイトパーチもよく釣れる。

 有名な海軍兵学校のアメリカンフットボールの試合を見に行くと、味方のタッチダウンのたびにその時の得点と同じ回数だけ、制服姿の士官候補生数百人が一斉にフィールド脇で腕立て伏せを繰り返すのもおもしろい。

 この街で働くパキスタン北東部ラホール出身のパンジャブ人、ヤセルさん(28)と知り合った。米国に来て11年が過ぎたそうだが、一昨年、結婚のためいったん故郷へ戻った。

 「米国で結婚? そんなことしたら、大変だよ。日本人も中国人もインド人も、それにわれわれも、家族(の価値)を尊重するが、米国の人たちはしないからね」と苦笑する。

 どうも、大家族に象徴される旧来の価値観の信奉者らしい。日本の実情についての判断は避けるが、米国では保守層を中心に「家族の価値の崩壊」に危機感を抱く人が少なくない。南部テキサス州議会では4月、「家族の価値」についての教育を大学に求めた法案が審理された。来年の大統領選挙でも、保守票取り込みのため同様の声高な訴えが聞かれるだろう。 (嶋田昭浩)

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