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ソウル 怒っていないのに…

2011年06月17日

 昨年暮れ、頭全体を3ミリの長さで短くそろえた。丸刈りだ。「心を入れ替え新年を迎える」と思い切った。ソウル市内の理髪店主人は「こんなに短くするお客は久しぶり」とうれしそうに電気バリカンをうならせていた。

 それ以降、丸刈りを続けている。ところでこれまでに韓国人から3回も、同じ質問を受けた。「何か不満でもあるんですか」と。知り合いだけでなく、初めてあいさつを交わした人からもだ。

 当地では一般の人々が頭を丸めた姿はほとんど見かけない。ただ抗議の意思を表明するとき、頭を丸めることがよくある。最近も外換銀行の労働組合幹部が本店前で、大株主の同行株売却に抗議して髪をバッサリと落としている様子をマスコミが伝えていた。

 私の短髪を見た人々は「何らかの怒りの表現ではなかろうか」と忖度(そんたく)したのだった。また刑務所での服役囚も丸刈りだ。民主化運動のリーダーだった故金大中(キムデジュン)大統領が軍事政権から内乱陰謀罪などで死刑判決を受けて服役していた当時の丸刈り頭の写真は有名だ。

 1カ月ほど前からは鼻の下にもひげを伸ばしている。親しい年配の会社経営者は「まるで日帝時代(日本の植民地支配時)の憲兵だ」と笑いながら言った。

 いま、再び髪を伸ばそうかどうか悩んでいる。 (城内康伸)

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