2011年06月30日
映画「卒業」の舞台となったカリフォルニア大バークリー校。サンフランシスコ湾に臨むキャンパスは広大で美しく、全米でも最も進歩的な文化発信拠点として知られる。
1960年代にはヒッピー文化を生み、全世界を巻き込んだ学生運動の原点といわれるフリースピーチ・ムーブメントが起きた。
そのバークリー校で最近受けているのが日本関連のイベントだ。日本で活躍する演歌歌手のジェロ、作家の村上春樹氏、映画監督の宮崎駿氏らが訪れた際にはキャンパス内の催事会場が学生らであふれかえったという。
米国では、日本への関心が薄れたといわれて久しい。政治・外交の中心地である東海岸ワシントンでは、特にそれを痛感する。
しかし、太平洋を挟んで日本と向き合う西海岸では様相が異なるようだ。同校のスティーブン・ボーゲル教授は「かつて学生たちは金もうけをしようと思って日本語を学んだ。今はアニメや小説が動機になるケースが多いようです」と話す。
夢中になった文化に原語で接したい。そんな気持ちで日本語を学んだことがきっかけで政治や経済にも関心を持つようになる学生が増えているという。
「経済大国」ではなく、等身大の日本に関心が深まっているのだろうか。だとすれば、心強い潮流の変化と思う。 (久留信一)