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北京 飲酒運転も怖いが…

2011年07月12日

 今や世界一の自動車販売台数を誇る中国はマイカー族が急増している。北京は人口の多さの割に近郊電車や地下鉄が発達していないこともあり、日常の通勤・通学にマイカーを使う人が多い。朝夕の幹線道路は大渋滞し、夜の住宅街は駐車車両であふれかえる。

 運転技術もマナーも決して褒められたものではない。車同士が衝突したり、歩行者がひかれそうになったりする場面は日常茶飯事。食事の際の飲酒や「仕事帰りに一杯」という習慣も一般化し、飲酒運転の事故も後を絶たない。

 一方で、交通事故の賠償金の標準額は都市部の住民が死亡しても58万元(約700万円)にすぎない。ある弁護士の話では、日本と異なり飲酒運転の場合は、自動車保険は被害者にも支払われない。加害者側に支払い能力がなければどうしようもなく、しかも事故を起こした運転手の10人に1人か2人は逃げてしまう。

 怖くなって、自分が事故に遭った時のアドバイスを求めた。弁護士は「あらかじめ日本の海外傷害保険に加入を。事故の時はすぐ110番しなさい。北京の街中の90%を監視カメラが撮影しているから、相手が逃げてもきっと捕まりますよ」。

 監視カメラがそんなにあるとは知らなかった。事故とは別の怖さも込み上げてきた。(渡部圭)