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ラマラ 生活の糧まで握られ

2011年07月11日

 「僕たちは、カネまで握られているということさ」。パレスチナ自治区のヨルダン川西岸にある街ラマラ。自治政府に勤務する男性職員(25)は、重い現実にため息をついた。

 イスラエルは5月初め、自治政府の代理で徴収した税の送金をストップ。イスラム原理主義組織ハマスとの統一政府づくりを、強くけん制した。自治政府は職員の給与を払えなくなってしまった。

 男性は妻と生後6カ月の息子の3人家族。物価は高く、月2000シェケル(約4万6000円)の給与で、暮らしはやっと。「給与がなければ親類に借りて食いつなぐしかない」と思い詰めた顔で言う。

 この日、イスラエルの占領に抗議するデモに参加。私を外国の記者と知って駆け寄り、「今のままじゃパレスチナ国家なんて無理だ。世界の支援がほしい」と切々と訴えた。

 デモは数千人が加わった。近くで一部の民衆がイスラエル軍と衝突。どす黒い煙が鼻を突き、救急車がけたたましく行き交う現場は、怒りに満ちていた。

 国際社会の批判を受け、イスラエルは後日、自治政府へ送金を再開。ただ、統一政府の成り行き次第で、再凍結の可能性がある。デモで知り合ったあの男性は、ひとまずほっとしただろう。だが、親子3人が、つましくとも穏やかに暮らせる日は、いつになるだろうか。(今村実)

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