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台北 「五色鳥」を撮りたい

2011年07月18日

 台北市の中心部にある大安森林公園の樹木に五色鳥が巣穴を作った。人間の目に触れるところに巣穴、しかも子育て中というのは珍しい。早速、見に行った。熱帯で生息する五色鳥は約70種。うち台湾にだけいる種の五色鳥が一番きれいで、体全体は緑色、頭や顔の部分に黄色、赤、青、そしてくちばしが黒の5色という。

 公園の道路脇にポツンと1本だけ立つ木。そのわずか2メートルの高さに巣穴があった。周囲3メートルぐらいは縄張りして近づけないようにしてあったが、周りに木がないから巣穴はよく見える。縄張りに沿って望遠鏡のようなカメラが数10台も並び、まるでタレントの記者会見を待つよう。

 毎日、見に来ているというビデオカメラを手にしたおじさんが「毎日こんな調子。休日は100台近い」「巣穴はくちばしで突いて1カ月半かけて開けた。ひなは3羽。でも1羽は死んだ。そろそろ親鳥が巣穴に戻ってくるはず…」と解説した。

 だが親鳥は一向に帰って来ない。帰巣の一瞬をとらえようとみんなじっと待つが、本物の記者会見があるのでもう待てない。「帰る」というとおじさんが数日前に撮った映像を見せてくれた。巣穴から顔を出してキョロキョロしている。確かに5色できれいな鳥だ。これなら汗だくになって一瞬を待つ気持ちはわかる。 (迫田勝敏)