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井崗山 娯楽の穴場 革命聖地

2011年08月06日

 中国共産党の革命聖地の1つで、故毛沢東主席が1927年に初の農村革命根拠地を築いた江西省井崗山(せいこうざん)。党や政府の幹部候補が研修に訪れており、堅苦しい雰囲気を予想していたが、まるでテーマパークだった。

 革命史跡などを旅する「紅色旅遊」の団体客らは、コスプレのごとく紅軍服を着て毛沢東旧居前や博物館の前で「ハイ、チーズ」。激戦の地で知られる黄洋界では、人民服姿の毛沢東そっくりさんが大人(たいじん)のごとく「うぉっ、ほっ、ほっ」とたばこをゆっくりふかし有料で観光客の記念撮影に応じていた。

 夜には自然の山々をそのまま舞台にした野外劇も。井崗山の革命史がテーマで、制作費は1億元(約12億5000万円)。爆撃シーンでは池の水が約50メートル上がるなどスケールの大きさに驚かされた。

 出演者600人の大半は地元の農民で、出演料は1回17元(約200円)。昼の耕作に加え、夜も仕事にありつけ収入は以前の2倍ほどになったという。

 「紅色旅遊は住民の生活改善、胡錦濤総書記が掲げる『和諧(調和のとれた)社会』を実現させた」と党幹部。一党独裁堅持、党への求心力向上という動機はともかく、地域振興という意味では紅色旅遊もありか。「党に動員されて来た」という男性も、「意外と楽しいじゃん」と言っていたし。(朝田憲祐)