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ニューヨーク 全米が食いつく熱戦

2011年08月10日

 それにしても、すごい胃袋だ。米独立記念日(7月4日)にニューヨークで開かれた恒例のホットドッグ早食い大会は、世界記録保持者の米国人学生ジョーイ・チェスナットさん(27)が10分間で62個をたいらげ、5連覇を成し遂げた。

 9.6秒に1個のペース。先にソーセージにかぶりつき、飲み物に浸したパンと一緒に「食べる」というより流し込む。さすがに最後は顔をゆがめ、体をくねらせたり小刻みに跳びはねて、のど元のホットドッグを胃に落としていた。

 その姿が感動を呼ぶのか、大会は毎年、スポーツ専門チャンネルが全米に中継。異論や批判が出るのも毎年恒例で、今年は視聴者の81.3%が電話投票で「早食いはスポーツではない」と答えた。

 一方のテレビ局も演出を工夫し、出場者のあごの筋肉や胃袋の大きさを「人並み外れた身体能力」と紹介。予選を勝ち抜いたファイナリストだけに許される「決戦の舞台」とし、派手な実況で“競技”を盛り上げた。

 そういえば、陸上男子100メートルの世界記録はウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)の9秒58。チェスナットさんはほぼ同タイムで、あのでかい1個をたいらげる計算だ。そう考えるとやはり超人的だが、こちらは観戦だけで腹が膨れた。しばらくホットドッグは見たくない。(青柳知敏)