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フランクフルト W杯が映す移民社会

2011年08月26日

 なでしこジャパンに世界が感動したサッカーの女子ワールドカップ(W杯)。決勝の舞台ドイツ西部フランクフルトで、開催国の複雑な表情を見た。

 優勝候補だっただけに、ドイツ人は本当にがっかり。だが、移民大国ドイツ。東南アジア系のタクシー運転手は、大柄な欧米勢に挑んで勝った日本の戦いぶりが爽快でたまらないようだった。空港で隣り合わせたトルコ系男性も「オメデトウ」と握手をした後で「欧米人をやっつけてくれてうれしいよ」。

 そこまで言わなくてもと思うが、実は問題は根深い。表彰式で選手にメダルをかけたウルフ大統領は昨秋、統一ドイツ20年で「偏見と排斥を許してはいけない」と演説した。人口の約15%が移民やその子孫。言語や教育が課題の半面、「イスラム系移民は教育水準が低い」と言い放った有名人の著書がベストセラーになる。大会直後、世界に衝撃を走らせたノルウェーのテロも、背景には欧州に共通した移民問題が指摘されている。

 代表チームの主力でドイツのために戦ったバイラマイ選手は、幼いころ、旧ユーゴスラビアのコソボから両親とともにやってきたアルバニア系移民だ。メルケル首相の誕生日に行われた決勝戦。期待通りに開催国ドイツが優勝していたら、全国民が心底喜べたのだろうか。(弓削雅人)

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