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ムルマンスク 民族問題料理できず

2011年09月19日

 「グルジア人の丸焼き」と名付けられたカツレツをロシア北西都市ムルマンスクで見つけ激怒したグルジア出身男性の訴えを受け、地元警察当局が捜査を始めた。「民族差別」「いやいや、伝統料理だ」-。冬にはオーロラが空を彩る静かな観光の街で論争が巻き起こっている。

 治安当局で働くその男性は、通りがかりのスーパーでカツレツを発見。「グルジンチキ・ジャーリヌィ(グルジア人の丸焼き)」と名札が付けられ100グラム当たり30ルーブル(約80円弱)で売られていた。

 男性は店主に「民族紛争を起こすような物を売らないでくれ!」と訴えた。しかし店側は「グルジアに、ちゃんとある料理だぞ」と譲らない。男性は怒りにまかせてその足で警察に行った。

 署員が早速、インターネットで検索すると、その料理名は確かにあった。料理法まで載っていた。「グルジアの伝統的な民族料理だと思う。しかし命名が過激すぎるかも…」(ジナトゥーニン報道官)と人権侵害の疑いがないか調べている。

 グルジアとロシアは、過去に紛争を起こした歴史がある。その影響でロシアでは、さっぱりと甘いあのグルジアワインや、おいしい水が禁輸措置になっていて手に入らない。

 いまのロシアでグルジアの取り扱いは、とても繊細で微妙な問題だ。

 (原誠司)