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ハバロフスク 断水でも大河の余裕

2011年09月27日

 ロシア極東の中心地ハバロフスクはアムール川河畔に開かれた街だ。川を眺望できる宿泊先のホテルはその日朝から、全館で水がまったく出なくなっていた。顔も洗えないし用を足すこともできなかった。

 昼食を取るため、ホテル内のレストランに入った。「食事は可能か」と手ぶりで尋ねると、「大丈夫」と女性従業員。断水しているはずなのに、注文したシーフード・チャーハンは出てきた。

 生理的な欲求には耐えられず、かといって自分の部屋では具合が悪いと思って、ロビー近くのトイレに駆け込んだ。ホッとしてトイレを出ると、清掃係の女性に出くわし、早口のロシア語でしかられた。

 アムール川の岸辺を歩いた。対岸は見渡す限りの緑だ。振り向けば、清楚(せいそ)な雰囲気の漂う建物が並ぶその正面には、シベリアの大自然が広がる。川岸には散歩するカップル、親子連れや釣りを楽しむ老人がいた。時間が止まったような、のんびりした光景だった。

 当地までウラジオストクから車を運転してくれたロシア人男性の話によると、「市内のほぼ全域で断水している」のだという。それにしては当地の人々に慌てたり、不満の様子は見えなかった。「アムール川の豊かな水がもたらす余裕なのだろうか」とふと思った。(城内康伸)

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