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ベルリン コメディアンに惜別

2011年10月05日

 ドイツ国民に愛された伝説的コメディアン「ロリオ」ことビッコ・フォン・ビュローさんが8月22日、87歳で亡くなった。

 テレビシリーズは1970年代後半に大人気だった。マナー教室の生徒がワインで泥酔する寸劇などナンセンスギャグは抱腹絶倒。核廃棄物が社会問題になった当時、孫へのクリスマスプレゼントに、組み立て方を間違えると爆発する原発のおもちゃを贈る風刺の効いたコントもあった。

 悲報に、ウルフ大統領は「掛け替えのない損失」と嘆いた。芸術家団体は「神様へ、大いに楽しんで」と、新聞に追悼の全面広告を掲載。天国へ逝くロリオを見送った。テレビも特番であふれた。

 コメディーのセリフは簡潔な文章が多く、発音や言葉遣いがきれいだった。ドイツ語を学んだことがある人の中には、教材代わりにビデオを楽しんだ人も多いのでは。私も腹を抱えて学んだ1人だ。

 恩返しにと、ロリオがベルリンで通ったイタリア料理店へ行ってみた。カウンターの遺影には小さな喪章のリボン。「常連だったんだよ」。そう話してくれた店員にロリオの名が付いた料理を頼むと、壁の写真のロリオがほほえんでくれたように見えた。亡きがらは芸術家や俳優の墓に囲まれて葬られた。皆の笑い声が聞こえてきそうだ。(弓削雅人)

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