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済南 誠意のパスは届かず

2011年10月08日

 中国山東省済南であったサッカー女子のロンドン五輪アジア最終予選で、日中戦のスタンドを歩いた。

 トラブル防止のため地元公安当局の指導でゴール裏に隔離された日本人専用観客席。試合前の国旗入場や国歌演奏では中国にも大きな拍手。「敵に拍手してるぞ」と意外そうにつぶやく公安関係者。「謝謝 済南」の横断幕も掲げられた。

 一方、中国サポーター席。君が代が流れるとブーイング。日本が攻勢に出れば中国語でののしるだけでなく、日本語でも「バーカッ!」。そのうち、スピーカーとマイクまで持ち出し、5万人収容の会場全体に響き渡る大音量で応援?を展開。施設側も警官も、傍観するのみ。

 試合後、中国サポーターが陣取ったスタンドに、裏返しになった横断幕を見つけた。文字が透けて見えた。日本人選手への日本語の応援メッセージに加え、中国語で「東日本大震災での中国の友人の援助を決して忘れない」と書かれていた。その日は震災発生から半年の節目でもあった。

 中国人サポーターがまばらになると、日本人の男性がやってきた。「グラウンドに見えるよう出していたんですが、中国人ファンに客席側にひっくり返されたんです。残念です」とぽつり。冷たい雨に打たれながら、無言で横断幕を畳んでいた。 (朝田憲祐)

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