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タンパ 職業病?本音を隠す

2011年10月13日

 米国人は、愛国心をごく自然に表す。来年11月の大統領選に向け、フロリダ州タンパで12日に行われた野党・共和党の候補者討論会を取材した際に、その屈託のない表現ぶりに圧倒された。

 討論会を共催したのが、保守派の草の根運動「ティーパーティー(茶会)」だったので、会場に愛国心旺盛な人が集まったという側面もあるのだろう。討論前に、大ホールが一体になって合衆国への「忠誠の誓い」を斉唱。続く米国国歌の大合唱は、まるでコンサートのノリだった。

 だが、その時、記者室には微妙な空気が流れていた。数百人のメディア関係者のほとんどは米国人だったが、起立して左胸に右手を当てているのは1割に満たない程度だった。大多数は所在なさげにパソコンに向かっている。国歌も周囲からは聞こえてこなかった。

 ん? この雰囲気はどこかで経験したことがある。そう、日本国内で政府主催の行事を取材する時によく出くわす場面だ。君が代斉唱になると、起立して歌う記者は一部で、多くは少しばつが悪そうな顔で座っている。

 米国でも記者の多くは、愛国心の表明を照れくさがったり、拒んだりしているのか-。彼我の文化の違いに戸惑ってばかりの日々に、日米に共通する職業の「性(さが)」を発見し、苦笑するほかなかった。 (竹内洋一)

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