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ラマラ 独立前進日本に期待

2011年10月21日

 「気持ちが高ぶる。『国』を手にするまで道のりは長いが、これが第一歩だ」。パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の街ラマラ。アラファト広場で出会った無職ハワンデさん(23)は、期待を込めた。

 独立国として承認を目指し、国連の加盟申請に沸くパレスチナ。市民は、加盟が米国の拒否権で困難だという現実も知っている。

 だが、イスラエルとの和平交渉が長く閉塞(へいそく)感に包まれる中、ほのかでもやっと手にした希望に高揚感は大きい。「国ができれば僕の仕事も見つかるさ」と加盟支持の集会に参加したハワンデさん。

 会場には国連の「席」への熱い思いを込めた高さ数メートルのいすのモニュメント。特設舞台で華やかな民族舞踊の後、加盟申請の一報が伝わると、数千人の市民から、まるで加盟が決まったかのような大歓声が起きた。国連での態度を明確にしていない日本に支持を期待する声も。

 有力政治家ムスタファ・バルグーティ氏は、「私たちが選んだのは、暴力ではなく、加盟申請という平和的な方法だ。日本に比べて人口は少ないですが、自由と平等を切望する気持ちは同じです」。

 郵便事業の幹部は、占領下で資金が不足して車を買えず、配達員が10キロ歩いて手紙を配ることがある、と訴えた。「日本に私たちの現状を伝えて」と懇願された。 (今村実)