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釜山 おでんの味悩みの種

2011年11月08日

 オデンは韓国でも日本と同じ発音、同じ意味。街頭の屋台で串に刺したオデンをほおばる人は多い。戦前から最も定着した日本の言葉、食の1つだ。

 ただ、オデンの種が練り物だけで単調なのが悩みの種。と思っていたら南部の港湾都市、釜山の店で日本式オデンに出合った。

 オデン湯(タン)の名で、種はダシの染みたゆで卵に大根、タコ、巾着、山芋、ワカメにサザエまで。はしが進み、汁も飲み干したら女主人の鄭仙玉(チョンソンオク)さん(66)がつぎ足してくれた。

 鄭さんの口から出る言葉にも驚いた。「チクワ、カマボコ、フクロ(巾着)…」。日本語が次々。店ではそのまま使い、常連客にも通用するという。

 聞けば、自慢のおでんは亡きご主人が釜山にあった日本料理店に弟子入りしたときに学び、1968年に今の店を夫婦で開いた時から出してきた。釜山の人に好まれ、数年前に冬限定から通年メニューに昇格した。

 釜山から戻った翌日、ソウル在住の日本人から次の週末に家で「おでんパーティー」を開くと聞き、笑えた。日本のおでんが懐かしく、ついに食材を買い求めて自ら作ってみるのだという。私にしても支局のあるソウルから釜山にそうそう足を運べない。あの味を知っただけに、湯気の立つ屋台をみるたび、新たな悩みの種となりそうだ。(辻渕智之)

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