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ワシントン 宿題不可能さの屈辱

2011年11月07日

 何とまあ積極的な。日本人の感覚では厚かましいくらいだ。次女が通うワシントン近郊の公立中学校の授業参観で驚いた。世界史の授業中、教師が質問しているわけでもないのに「先生」「先生」と次々に手が挙がる。

 教師に当てられた生徒は、喜々として自分の疑問や意見を開陳する。授業への集中力には感心するが「先生の話は最後まで黙って聞け」としかりたくもなる。娘を含め3人の日本人は、英語が十分に話せないせいもあって静かに座っていた。

 針小棒大に言えば、対照的な様子に日米の国民性の違いを痛感した。両国は同じ民主主義国で60年以上の同盟関係にあるが、それだけで分かり合えるほど近い関係ではない。相互理解には人的交流の絶対量が必要だ。

 かねて日本から米国への留学生の減少が懸案になっている。「学生の人口が減っているんだから、留学生も減るだろう」くらいに高をくくっていたが、娘の中世ヨーロッパ史の宿題に頭を抱えながら認識を改めた。

 宿題は難解な上に量も多く、英語を習い始めたばかりの娘には手に負えなかった。テキストは「カノッサの屈辱」に差しかかった。雪の中で3日間ではないにせよ、冷え込む秋の未明、独り中学生の宿題と格闘する40男は、若いうちに米国で学ばなかったことを悔いた。(竹内洋一)

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