2011年10月31日
湖北省武漢で、地元の人たちが集まる飲食街に足を運んだ時のことだ。名物は、長江で捕れる川魚の蒸し物。おいしそうな店を探して歩いていると、ある鍋料理店の店先に小さな人だかりを見つけた。
店先には、小さなおりがずらりと並び、中にはウサギやタヌキをはじめ、見慣れない獣たちも。地元で人気の、獣鍋の店という。
店主は「実際に見て、選んでもらったものを食べさせるのが売り」と言った後、「ただ、最近はうるさくなった」と続けた。
聞けば、つい最近までは食用犬も並べていたが、愛犬意識の高まりとともに、“自主規制”して陳列を控えているのだとか。
古代から犬食文化がある中国だが、富裕層で広がるペットブームと比例して、愛犬家らの発言力が増している。浙江省金華では今月、600年以上続いた「犬肉祭」が休止に追い込まれた。4月には、北京で運搬中の食用犬約500匹を愛犬家が11万元(約130万円)で買い取る騒ぎも起きた。
外資系企業の進出が進む武漢では、犬肉の専門店が看板から犬のイラストを消すなど、対応が広がっているのだとか。店主は「体が温まって、健康にいいんだけどね。人目を気にして食べる料理になってしまうのかもな」と寂しそうに話した。(今村太郎)