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カイロ 犠牲祭変わらぬ営み

2011年11月29日

 今月上旬、イスラム教徒にとって大切な「犠牲祭」が巡ってきた。預言者イブラヒムが、息子の命を神に差し出そうとしたとの故事にちなみ、多くの家庭で、生きた羊をほふるのが習わしだ。

 記者も知人とポケットマネーを出し合い、羊2頭を買うことにした。カイロの支局近くの高架下で、数十頭から選べる。1頭2150ポンド(2万8000円)したが、奮発した。

 羊は通常、大型の包丁で喉元を切って一瞬で絶命させた後、食肉用に解体する。支局の助手には、自分でやるよう勧められたが、遠慮した。食肉店に持ち込み、処理を依頼。愛らしい2頭の羊は、職人の手際よい包丁さばきでみるみる間に数十キロの食肉に変わった。

 肉は3等分して1つを家族用とし、もう1つを親類や友人に贈り、残りは貧しい人々に配るのが慣習という。

 今回は、支局のスタッフやお手伝いさん、駐車場の管理人ら十数人に配って回った。日ごろのお世話に感謝を述べて肉を手渡すと、みんなうれしそうに握手を求めてきた。

 民衆革命で2月に独裁政権が崩壊したエジプト。今月下旬にはいよいよ、新たな国づくりの第一歩となる、人民議会選が迫る。騒然とした世相の中でも、変わらぬ営みに、この国の奥深さを感じた。(今村実)

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