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上海 酸味は豊かさの証し

2011年11月25日

 中国では数年前までレモンは非常に貴重品だった。先進都市である上海ですら高級な料理店でも日本風の居酒屋でも、サラダや焼き鳥、焼き魚の付け合わせにレモンが出てくることはまれだった。

 かわりに使われていたのはミカン。だいだい色の皮と、甘ったるい搾り汁を見るたびに、この国の現状を憂いたものだ。

 中国語にも恐らく日本から輸入された「檸檬」という言葉があるのに、実物にお目にかかることは、ほとんどなかった。

 しかし先日、上海の同僚に連れられて入った焼鳥店では、ふんだんにレモンが使われていた。串を1本だけ注文しても皿の端にレモンが載っていた。そういえば北京の居酒屋にも生搾りレモンチューハイが登場しており、感激したものだ。

 聞いた話では、米国の大手食品会社が中国内の農場でレモンを栽培するようになり徐々に普及したらしい。

 その上海の店には、なんとアユの塩焼きもあった。20元(約240円)でレモン付き。店員の話では大連で養殖しているといい、天然物のような苦味はなかったが、間違いなくアユの味がした。

 客の大半は中国人。レモンに手を付ける人はほとんどいない。もったいないと思いながらレモンを何度も搾り、酸っぱい焼き鳥を味わった。 (渡部圭)

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