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香港 自由な空気変わらず

2011年12月09日

 中国の一部でありながら、政治体制が異なる「一国二制度」の微妙な関係にある香港。7年ぶりに訪ねたが、猛烈に変化する中国大陸の都市に比べれば、街の様子は以前とほとんど変わっていない。

 “空気”も変わっていなかった。ある公党の党首にインタビューを申し込んだら、区議選(地方選)の忙しい遊説の合間に「30分ならOK」。中国ではあり得ない。かつては上海、今は香港に駐在する同業者は「政府高官も気軽に取材に応じる。役所の人も電話で答えてくれる」。中国ではあり得ない。

 日本の製品や看板があふれ、日本食も本国並みにおいしい。名古屋飯を出す店の手羽先は、本場より美味だった。くだんの党首も「日本に対する見方は大陸とは違う。香港は、文化も食品も流行も受け入れます」。中国が文化流入を制限しなければもっと親日的になるのに。

 一方で、「経済発展は大陸頼み」と党首。議会の議員らは民主派が後退し、親中派が勢いを伸ばす。香港住民は中国の顔色をうかがいながら、自分たちの繁栄と自由の道を模索しているようだ。

 金融街では、英米の反格差デモに感化された人たちが座り込み。中国だったら警察官や装甲車が出てきて大騒ぎになるところだ。政治体制の違いはかくも大きい。(渡部圭)