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ニューヨーク 七面鳥おふくろの味

2011年12月15日

 「うちの母親に聞けば何でも知ってるよ。母親が焼く七面鳥はすごいんだ」

 11月24日のサンクスギビング(感謝祭)を前に、ニューヨークで話題が七面鳥料理になると、複数の知人がこう自慢してきた。ホームレスも囚人も、ウォール街の反格差デモの参加者らも、全米が、この日に七面鳥料理を食べたほどの国民食だ。

 ノースカロライナ州出身の知人は、七面鳥をおいしく味わうには、副菜との組み合わせも重要だと力説。パンや野菜、ハーブなどを混ぜて焼いた料理や、七面鳥の肉汁で作るソースなど、今は離れて暮らす母親が作る感謝祭の夕食は最高だったと振り返った。

 メキシコ出身の母親を持つ知人は、肉にかけるソースがトウガラシのピリッと効いたメキシコ風で「あの味にかなうソースは他では食べたことはない」と。

 わが家でも七面鳥を焼いてみた。

 1羽、約5キロで35ドルほど。冷蔵庫内で解凍するのに3日間以上を要し、ハーブやにんにくなどを混ぜた特製バターを塗って、約4時間かけて、オーブンで焼き上げた。肉がしっとり軟らかくおいしかった。

 家族のために時間をかけて焼き上げる七面鳥。ファストフード全盛の時代でも、米国人にとって欠かせない「おふくろの味」なのだと実感した。(長田弘己)