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ソウル 死去…冷静と緊張と

2012年01月23日

 昨年のクリスマスから年末年始にかけ、ソウルの街は大いににぎわった。12月19日に、北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記の死去が発表されたばかりなのに、だ。

 「先軍(軍事優先)」を掲げ、核とミサイルを交渉のカードに国際社会を振り回してきた人物の死去。今後の北朝鮮の出方次第では、韓国の安全保障面に大きな影響を与えるのは間違いない。

 北朝鮮の動きは気になりませんか? 食事中の女子大生に尋ねてみると「(金総書記は)遠くない将来に死去すると思っていたから、驚きはない。それより就職活動で精いっぱいだった。最近ようやく内定もらえたんですよ」と笑顔で語る。

 別の30代会社員も「2010年11月の延坪島砲撃でも戦争にならなかったから、みな大丈夫と思っているのでしょう」と楽観的だ。砲撃時は非常食の買いだめがあったが、今回は見聞きしなかった。

 それでも大学生の知人によると、兵役から戻ったばかりの学生の間では、予備役の訓練が強化されるのではとの心配が広がったという。ソウルの総合株価指数も最近、北朝鮮内での軽水炉爆発の怪情報で一時急落した。

 不安定要素を抱える北朝鮮と接する韓国。冷静な生活の陰で、やはり市民は緊張感を忘れていないようだ。(篠ケ瀬祐司)