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北京 上達の極意は貪欲さ

2012年02月01日

 北京語言大学で日本語弁論大会が開かれ、審査員の一人として参加した。中国人学生18人が日本語で4分間、熱弁を振るった。

 発音やイントネーションは日本人の中高生と錯覚する。東日本大震災や日本のアニメ、ドラマの話題から恋愛、日中比較まで内容は豊富。自分で作った小説を日本語で発表する学生もいた。北京留学中、クラスのスピーチで、暗記すらままならず冷や汗が噴き出した苦い記憶がよみがえった。

 「丸暗記」とも疑ってみた。金メダル至上主義の中国で、若者の体力低下を心配する女子学生に「では、金メダル獲得数が世界一でなくなってもいいの」と質問すると「エリート教育と体育教育改革は両立できる」と即答。審査員の想定外な質問に、しどろもどろの学生もいたが総じて驚くべき日本語能力だ。

 指導教授は「日本語学習の動機はアニメとドラマがほとんど。『理解したい』『話せるようになりたい』という衝動が上達のこつ」と話す。その一方で「海外のアニメやドラマがダウンロードし放題の中国の若者は、外国語の学習環境面で恵まれている」と、違う解説をする人もいる。

 とはいえ、中国の若者には外国文化への渇望だけとは思えない、自分の将来への貪欲さを感じる。見習うべき姿勢だと思う。(安藤淳)