2012年02月02日
ペレ、ベッケンバウアー、プラティニ、ジダン、ロナウド…。2階の記者席から、思わず身を乗り出した。
スイスのチューリヒで9日、国際サッカー連盟(FIFA)の2011年表彰式を取材した。1968年生まれの記者は、かつてサッカー少年だった。3年連続で最優秀選手賞に輝いたメッシは確かにまばゆい。女子部門の同賞を受賞した沢選手もそう。目線はしかし、スポットライトが当たるステージより、伝説的スターが着席する関係者席に向いた。
そこにはウーゴ・サンチェス、ブトラゲーニョ、ストイコビッチ、ファンバステン、フリットといった面々も。一部は生のプレーも見てきたが、これほど豪華な顔触れがそろう場に居合わせたのは初めて。青少年期の興奮がよみがえった。
スポーツ界で度々語られる議題がある。「歴代で最も偉大な選手は誰?」。会場でふと、そんな思いを抱いた。投票すれば、同じ時代を生きたアイドルを支持する者が多いのではないか。正解のない問いがファンの夢をさらに広げる。
唯一の真実を口にしたのはFIFA会長賞を受賞したマンチェスター・ユナイテッドのファーガソン監督。「偉大な選手は世代を超える」。英国のスター軍団を25年も率いる70歳の言葉にうなずくばかりだ。(小杉敏之)