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ロンドン 泥棒もナビゲート!?

2012年02月14日

 「泥棒さん、この中には金目のものは何も置いてありません。だから、窓を割ったりしないで」。自宅近所で道路わきの車に目をやると、こんな走り書きが窓に張ってあるのに気付いた。

 けっこう古く汚れたワゴン車で何も置いてなさそうなのだが、確かにロンドンで車上狙いは多い。この1年半で2度ほど犯人とおぼしき男が他人の車をあさっているところを目撃したことがある。

 さらに夜ともなればロンドンの中心地では大胆な輩(やから)が、通りに止めてある車一台一台の前に立ち止まっては中をのぞき込み、物色している。通行人がいようが気にする様子もない。「まだ盗んでないから、いいだろ」とでも言いたげだ。

 「だから、車内の目に見える所には何も置いてはいけない。犯罪を誘発するようなものだ」とロンドンっ子。その言葉を忠実に守り、見えない場所に置いてきたが、最近「それでも不十分だ」とアドバイスされた。

 英国で、カーナビゲーションは乗るたびに吸盤で前面の窓に取り付けるタイプが主流。もちろん、降りるときに吸盤ごと取り外すのだが、窓に円形の跡がかすかに残る。「それを目ざとく見つけて『ナビがあるはずだ』とガラスを割る。だから、跡を消すかナビを持ち歩くかだ」。なるほど、と感心してしまった。 (有賀信彦)