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パリ ヨシダから日活まで

2012年02月08日

 「ヨシダを知っているでしょう」。新聞を買いに寄ったキオスク。こちらが日本人であることを知ると、男性店員がうれしそうに聞いてきた。パリジャンが尋ねるヨシダとは誰か。シゲルか、ショウインか。教養を試されているような気がして、一瞬戸惑った。

 答えは「ヒデヒコ」。店員は総合格闘技のファン。五輪柔道金メダルの元プロ格闘家、吉田秀彦さんが好きだったらしい。「引退後も指導者として活躍してますね」と答えると、うれしそうに日本の総合格闘技への愛着を語り始めた。「サクラバ(格闘家・桜庭和志さん)は最高です」「今の米国スタイルはつまらない。以前の日本のほうがいい」

 何しろ、(シラク)前大統領が大の大相撲ファンだった国だ。意外なところで日本びいきの人々に出会う。

 パリの映画文化施設シネマテーク・フランセーズでは、昨年末から日活映画の回顧上映会が開かれていた。

 有名作品とは思えない「黒い太陽」(1964年、蔵原惟繕監督)に集まったのは50人以上。小さな会場は埋まった。時折聞こえる笑い声やため息で観客が引き込まれているのが分かった。スクリーンでは、川地民夫さんが戦後日本の若者の屈折した熱さを見事に演じている。パリでそんなシーンを見る不思議を感じつつ誇らしかった。 (野村悦芳)

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