2012年02月15日
3カ月ほど「韓薬」を飲んだ。
西洋の化学的な薬ではない、いわば「韓国の漢方薬」。記者が身長176センチ、体重56キロと少々(かなり?)やせているのを見かねて、知人の「韓医師」が調合してくれた。胃腸の働きが弱い記者に合わせた液体薬を、コップ1杯ほど朝晩飲み続けた。
目覚ましく発展を続ける韓国で、こうした東洋医療が、どっしりと根を下ろしている。
記者が通った「韓医院」はソウルのビジネス街のど真ん中にある。そこにアニメ映画「千と千尋の神隠し」に登場した「釜じい」の作業場のような、壁一面の薬引き出しを備えた医院がある。それだけで何やら楽しい気分にさせられる。
設備だけではない。地元では韓医師は西洋医学の医師と同じように尊敬されており、体質改善や滋養強壮などで訪れる患者は、今も少なくない。
伝統が無条件でいいとはいわない。それでも日本ではテレビや映画の世界になりつつある東洋的な光景に、高層ビルが立ち並ぶソウルで出合えるのは、得した気分だ。
ただ、処方された薬の味に慣れなかった。映画「千と…」では、苦しむ竜が「にが団子」を飲んで虫を吐き出す場面がある。毎回それを思い出しながら、一気に飲むことにしていたのだが…。 (篠ケ瀬祐司)