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鳳凰古城 火花散らす春節論争

2012年02月20日

 湖南省西部の街、鳳凰(ほうおう)古城。明代の屯田兵の村で、地元出身の作家が描いた小説「辺城」の映画がヒット。各地から若者を中心に観光客が訪れる。

 今年の春節は、1人で静かに本でも読みながら過ごそうと思い、川沿いのバルコニーがある民宿に宿を取った。宿の主人は「きょうはあなた1人。私も家族そろって夕飯を食べるので民宿の鍵も渡すよ」とのんびりムードだ。

 しかし、昼下がりから爆竹が街中で鳴り始めた。田舎の爆竹は規制が緩いのか音が大きい。まるで爆弾テロに遭ったかのように、爆音がして爆風が舞う。道端で母親が「やめてよ、小さい子がいるから」と懇願してもやめない。女の子は耳を押さえて泣いていた。

 犯人は都市から帰省した農民工とみられる若い男たち。昔のテクノカットや茶髪で都会っ子ぶっている。春節で幼なじみに会って、かっこいいところを見せたいのだろう。

 中国の市街地では春節期間中のみ、爆竹使用が許可されていることが多い。しかし、毎年死者やけが人が相次ぎ、爆竹の是非で論争が起こる。今年も有名女優がブログで「幼児の安眠が妨害される」と批判、民俗学者は「中国の伝統で年に一度だけ。寛大に」と主張、平行線だ。伝統はいいのだが、やはり場所と時間はわきまえてほしい。(安藤淳)