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上海 出稼ぎは今や金の卵

2012年02月23日

 出稼ぎ労働者たちが帰省のため大移動する中国の春節(旧正月。今年は1月23日)。古里への鉄道チケットを買い求める長蛇の列が風物詩となっているが、出稼ぎ労働者が経済成長を支えてきた沿海部では最近、違った風景が見られる。

 上海北部の長興島にある造船工場は、労働者を内陸部の古里へと送迎するバスを自前で走らせた。労働者の運賃は無料。乗車時、工場幹部が「ゆっくり休めよ」と握手しながら食品などの土産を配る配慮まで見せた。上海中心部の高層ビル建設現場は、休暇前に労働者向けの立食パーティーを開いて慰労した。

 中国は近年、国を挙げてのインフラ整備や投資促進で、内陸部も成長著しい。大規模な工場や小売店も多数進出した。物価が高くて生活環境の悪い都市部へと出稼ぎするより、「多少賃金は低くても、古里近くで暮らしたい-」と考え、春節を機に沿海部の出稼ぎ先を見限る労働者が増えている。

 対する工場側は、労働力不足を避けるため、現場復帰を促そうと労働者をもてなしているのだ。だが、春節休暇が終わった1月末から2月初旬、上海では各工場とも見込みより2~3割ほど労働者が不足しているといい、効果はイマイチのようだ。来年はさらに豪華な“アメ”が登場するかもしれない。(今村太郎)

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