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サンフランシスコ 人生を知る死亡広告

2012年03月12日

 米カリフォルニア州には大小約300の新聞社がある。ほとんどが町々にある地方紙で、死亡広告が呼び物の1つだ。

 筆者が購読するサンフランシスコ郊外の日刊紙は、人口50万人弱の郡内に配られている。1日平均30数ページ建て。死亡広告がほぼ1ページを埋めることがよくある。

 ほとんどに、いい表情で笑っているスナップ写真の切り抜きが付いている。中には、サングラスを掛けたままのもの、釣り上げた魚を自慢げに掲げているもの、大戦中のものと思われる軍服姿、若いころと最近の写真2枚を並べたものなど、思い思いに故人をしのんでいる。

 日本なら、亡くなった日時、場所、死因、年齢などが整然と並べられるが、当地のは300語前後の長い本文にもかかわらず、死亡日や年齢がなかったりする。習慣の違いだろうか。内容は職歴、これまでの社会貢献、趣味など細部にわたり、家族や親せきの名前の列記が続き、最後は葬儀の予定で締めくくられる。

 子どもを亡くした親が、毎年命日近くに「愛しているよ、ママより。パパより」と写真を掲載する例もある。

 人の生涯は興味深く、自分の知人でなくても丹念に目を通す読者が多い。

 掲載料は、約300語の本文に写真付きで、1日約180ドル(約1万4000円)だ。 (岡田幹夫)

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