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クライストチャーチ 被災地のエール届け

2012年03月16日

 1年前の地震によるがれきの撤去作業が続くニュージーランド・クライストチャーチ。中心部を歩くと、交通整理のコーン標識がそこかしこに置かれている。そのコーンのてっぺんにある穴に、色とりどりの花が挿されていて、殺風景な現場に彩りを添えている。

 クライストチャーチは今、夏の終わりの温暖な気候で、花が豊富に咲く時季だ。3月7日からは、市民が毎年楽しみにする「フラワーショー」も開かれる。各家庭が草花で庭先を彩り、町中でガーデニングの腕自慢を楽しむ。ふんだんに育てた花の一部を、市民が自発的にコーン標識に挿しているのだ。昨年は地震で中止になったので、花の栽培にも一層、力が入っている。

 今年は、ショーの最終日に当たる11日、「日本祭」が初めて開かれる。地元の日本人会が中心になり、同会結成20年と、両国の国交樹立60年を記念して企画した。地元の日本人たちは、東日本大震災から1年の日にお祭りをしてもいいのかと悩み抜いた末、復興への明るい一歩になればと、開催を決めた。

 日本文化の紹介や日本食の販売があり、収益は半分ずつ、現地と東日本大震災の被災地に寄付されるという。町が花であふれるこの時季の、恒例行事として根付いてくれればと思う。

 (今村太郎)