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ロンドン 本番へ熱狂のペダル

2012年03月15日

 一足早く五輪気分を味わった。先日、ロンドン五輪のテスト大会を兼ねた自転車トラック競技のワールドカップ(W杯)を取材。6000人の観客で満席となった競技場内は、ユニオンジャックの旗が揺れ、地鳴りのような大歓声に包まれた。

 日本では決してメジャーとはいえない自転車競技だが、欧州はロードレースを中心に人気が高い。とりわけ英代表は女王から「ナイト」の称号を授与された英雄がいる。4年前の北京五輪で三冠を達成したクリス・ホイ選手。7月開幕のロンドン五輪でも金メダルが確実視されている。

 期待の大きさは、1億500万ポンド(約130億円)で新設された競技場のベロドロームにも表れている。上空から屋根を見ると、まるでポテトチップ。ユニークな形ゆえ、スナック菓子の「プリングル」の愛称がついたが、シベリア産の木材を敷き詰めた超高速トラックを備える。

 高速走行に最も適した路面温度にするため場内は28度の一定温度に自動調整。ホイ選手が設計に関わったあたりにも、自転車競技に懸ける英国の意気込みを感じさせる。

 今回のテスト大会では実際、初日から英代表が女子種目で世界最高記録をたたき出した。開催国の戦績は大会の盛り上がりを左右する。この競技場が熱狂の発信源になるかもしれない。 (小杉敏之)