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サヌア 幸せ取り戻す第一歩

2012年03月30日

 「皆さん、おめでとう。この選挙の勝者は、イエメンの人々です」。首都サヌアでの記者会見で、選挙管理委員会の委員長が切り出すと、国内外から集まった大勢の記者から拍手が起こった。

 反政府デモから政情が混乱し、1年余で2000人が死亡したとされるイエメン。大統領選で副大統領のハディ氏が選出され、33年間、政権の座にあったサレハ氏は退陣した。

 選挙なのに、候補者はハディ氏1人だけという奇妙な出来レースだったが、投票所の前は平和を渇望する人々の長い行列ができた。サレハ派と反対派に分かれて続いた血みどろの争いに、区切りをつける必要があった。

 「これまでは大統領選があっても、無駄だと思って人々は行かなかった。今回は、多くの国民が何かを変えたいと思っている」と、地元の記者は言う。

 選挙は、お世辞にも順調とは言い難かった。いくつかの投票所は武装勢力に襲撃され、スタッフが死亡したり、閉鎖したりした。各地から集計所に送る報告用紙が大きすぎ、ファクスで送れないという日本では考えられないドタバタも。結果の発表は、投票日の3日後にずれ込んだ。

 アラブの最貧国の一つだが、かつては「幸せの国」と呼ばれた、イエメン。誇り高さと人懐っこさが同居する人々に、平穏が戻ってほしい。 (今村実)

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