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クリーブランド のめない中間層切り

2012年04月10日

 野球帽にトレーナーにチノパンツ。がらんとした平日の夜のバーで、ウイスキーのコーラ割りという米国らしい飲み物を前に、ミドルクラス(中間層)を自任するダン・ベーロンさん(28)は怒った。

 米大統領選の共和党予備選の投票があった中西部オハイオ州のクリーブランドで、各候補者が票の取り込みに躍起になっていた中間層の声を拾うため街のバーを訪れた時のことだ。

 父親は大手製造業に勤める元サラリーマンで母親は専業主婦。子どものころのアルバイトはこの国の子どもの定番、新聞配達だった。今、従業員2人の造園会社を経営する。

 「オバマ大統領は中間層を見捨てたよ」

 リーマン・ショックの後、不況で経営が行き詰まった。中小企業の救済策としてオバマ大統領が導入した特別融資に応募したが断られた。

 たまたま窓口となっていた銀行に友人がおり、こっそり尋ねたら「応募した400件のうち認められたのは2件よ」と言われて驚いた。「全然、救済策になっていない」

 かつて製造業の中心として栄えたこの街。当時の活気はもうない。ベーロンさんは、弁護士になるため大学院に通っているという。

 「このままじゃ先が見えてるから」。そう言って、ウイスキーをあおった。(長田弘己)

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