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北京 ひ弱じゃない「80後」

2012年04月16日

 「ここは明代に建てられた由緒ある寺。なのに壁画も刻印の入った瓦もめちゃめちゃに壊された」。がれきと化した建物の前に若者たちが立ち尽くす。

 北京市郊外の石榴荘村は、都市再開発を名目に立ち退きを迫られ、無秩序に村が破壊されつつある。行政側の強権的なやり方に、住民の不満は高まる。

 そこで立ち上がったのが、20代半ばから30歳の若い住民たち。かつて寺の境内にあった小学校で学んだ同窓生でもある。中国では「80後」と呼ばれる1980年以降生まれの世代。一人っ子が多く、旧世代からは、ひ弱で自己中心的などと、やゆされてきた。

 彼らは法律を徹底的に調べ、村議員の選出や執行手続きに違法性があることを突き止めた。村民を巻き込み、冷静な手段で行政側に抗議したが、相手は取り合わない。

 「家を追い出された高齢者を守らないと。僕たちがやらなければ誰がやるんだ」とリーダー格の一人。メディアの取材にも積極的に応じ、仲間が警察に拘束された時は、すかさずインターネットを通じて世論に訴え、釈放を働き掛けた。

 冷徹な官僚機構の前に、若者たちは苦戦を強いられている。だが、ひ弱どころか、こうした自己主張の強さは、中国の将来に影響を与える世代なのかもしれない。 (渡部圭)

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