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ソウル 中韓 見立てはどっち

2012年05月14日

 朝、目覚めると激しい腰痛に襲われた。出張先のソウルに来て3日目。痛くて起き上がるのもままならない。

 そろりそろりと歩きながら、韓国医学の診療所に行った。利発そうな医師は、私を自分の2メートルほど先に立たせて診察。「食べ過ぎですね。きょうは食事をしてはいけません。油は控えなさい」と言い、鍼灸(しんきゅう)、超音波治療、整体術を施した。

 確かに、初日の晩は、サムギョプサル(豚バラの焼き肉)とカムジャタン(ジャガイモと豚の鍋)、2日目の昼は鶏の腹に、もち米などを入れたサムゲタンを食した。その日の夜はカルビ、ドゥンシム(牛ロース)、チャドルバキ(牛スライス)と牛肉尽くし。さすが地元の医師は、お見通しだったのか。

 二十数年ぶりに訪れたソウル。普段暮らす北京に比べれば、街も人もずっと小ぎれいで、空気もいい。何といっても料理がおいしい。食い意地が張っていたことを反省しながら、北京に戻った。

 今度は中国医学の診療所へ。エックス線撮影で骨の様子を見た後、マッサージと鍼灸治療。恐る恐る医師に尋ねた。「やはり食べ過ぎでしょうか?」

 医師は「体が重いと腰に負担を掛けることはあるが、食べ物と腰痛は関係ありません」と笑って一蹴。中韓の治療法は似ていたが、見立ては中国を信じたい。(渡部圭)