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北京 マナー向上も融通は

2012年05月30日

 3年ぶりに訪れた北京は、街のほこりっぽさや道路の渋滞は相変わらずだった。うんざりしつつも妙な懐かしさすら感じてしまう。

 一方で改善されたと感心したのは、銀行窓口の応対ぶり。横柄で融通が利かないというイメージしかなかったが、口座を開設しようと訪れると、行員が「今日はどんなご用でしょうか」。順番待ちの間もガードマンが番号札を確認して「次ですね。こちらの受付にどうぞ」。日本にいるような丁寧な応対ぶりだ。

 街中で人とぶつかっても、相手から「済みません」の言葉が自然に聞かれるようになった。北京五輪の際に国際的なイメージアップを狙い、マナーやサービスの向上が大々的に取り組まれた。この時は一時的なものに終わるだろうと思っていたが、中国人のマナーは着実に向上しているようだ。

 ただ、別の日に家賃の振り込みをしようとすると、パスポートの提出を求められた。口座に入っている日本円を人民元に両替するために必要だとのことだが、パスポートは居留ビザの手続きで公安局に提出していた。このため預かり証がパスポート代わりになるはずだと説明しても、女性行員は「原本がないとだめです」とにべもない。応対はソフトになったものの、融通の利かなさは相変わらずのようだ。 (新貝憲弘)