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バンコク 名物祭り水を得た魚

2012年06月07日

 先月のタイ旧正月(ソンクラン)の初日に、水かけ祭りに出掛けた。バンコクのメーン会場となったシーロム大通りの歩行者天国や周辺の繁華街は数万の人出でびっしり。早速、四方八方から水が飛んできた。

 まず目についたのが水鉄砲。ポンプを押して中の気圧を高めると水が勢いよく飛び出す本格派が人気で、両手で持つような、どでかいものも。通りの両側から容器で水をぶちまけたり、ホースで放水したりする難所も随所にあった。

 常夏のタイはこの時期が1番暑く、ずぶぬれになってもあまり寒くはないが、時折飛んでくる氷水には心臓が縮んだ。でもルールは決して怒らないこと。カメラや携帯が壊れても請求できない決まりなので、みんなあらかじめ防御して臨む。

 最初は水をかけられる一方だったが、同僚と「同じアホなら、かけなきゃ損、損」と水鉄砲を買って応戦することに。
 もともとは仏像や年配の家族に水を注ぐ新年の習わし。水かけ祭りはそれが国民的行事に発展したもので、ミャンマーとラオスでも行われている。

 見知らぬ者同士が水をかけ合う。ふだんはあり得ないその瞬間、互いの気持ちと笑顔が交わる。他人とつながる楽しさ。参加して祭りの魅力が分かった気がした。 (杉谷剛)